どうなってるの?世界の賃貸物件事情
事業用不動産における、日本とご当地の違いについて
 日本の事業用における不動産事情は、近年の情報社会ということも手伝って、あらゆる情報を得られることができますが、海外の不動産事情は目にする機会が少ないのではないでしょうか。 そこで、日本と海外の事業用における不動産事情はどう違うのか、アメリカ、イタリア、中国の3カ国に渡り、取材を致しました。

1.賃貸契約に必要な費用の種類は?
 成約時に2ヶ月分の家賃を支払う必要があります。1ヶ月分は次の1ヶ月の家賃になります。他の1ヶ月分はDepositと呼ばれ、退去時に掃除やダメージの修繕等に要した費用を差し引いて残額を返してもらえます。貸主によっては定期預金に入れて利子をつけてくれるところもあります。Real Estate Agentと言われる不動産屋会社に仲介を頼んだ場合、成約時に借主に費用を請求されることはほとんどなく、貸主が不動産屋さんに成約時に手数料を払うのが一般的です。
 敷金(Cauzione)は2ヶ月分と法律で決められていて、この敷金は契約が終了(退去)する時に払い戻されます。通常の契約では破損部分があれば退去時に借主が修理する旨が明記されています。
 不動産会社(Agenzia Immobiliare)を介して契約した場合はその不動産会社に1ヶ月分の手数料を支払うことも法律で定められています。
 不動産会社に払う仲介料(慣例では1月分の賃料)と不動産を破損した場合などに払う保証金(慣例では一月分の賃料)があります。

2.契約上の特徴/契約や制度において日本と違う点は?
 日本と違って色々な契約形態があり得ますので、よく説明を受けること、不明点は質問して明確にしておくことです。タバコを吸える場所を規制している場合もあります。銃刀の持ち込み等を規定している(持ち込まないということを誓約させる)場合もありますが、日本人の場合にはこれは心配ないでしょう。契約前にCredit Record(信用格付け会社が発行する信用度の記録)を要求されることがあります。日本人が借りる場合、個人の場合は日本での納税証明書、会社の場合は一番新しい収益計算書を英語の翻訳を付けて出せば良いでしょう。Credit Recordをとるには200-300ドル必要なことが多いです。最近は無料の信用格付け会社の書類が出回っていますが、通用する場合としない場合があります。
 自由業(弁護士、会計士、建築家、デザイナーなど)の場合は、住居用のアパートでも仕事をすることが可能です。しかし販売業や飲食業などは、「商業用オフィス」を契約する必要があります。その場合は商工会議所(Camera di commercio)の登録証を提示する必要があります。
 商業用オフィス契約の場合は、一律「6年契約」で、6年おきに6年間の契約更新がなされます。もし契約期間の途中で貸主がそのお店に退去を願う場合は、36ヶ月分の賃料を支払う必要があり(buonuscita 補償金)、その後その場所は同じ業種のお店を開くことができなくなります。例えば、持ち家の1階をカフェとして貸していたが、息子が店を開きたいと言い出したので退去を願う場合は、36ヶ月分の賃料を払い、さらにその息子は同じ場所に新たに飲食店は開けないことになります。
 北京は不動産が供給過剰なので、空き室が多く、不動産仲介業者へ支払う仲介料については、借主ではなく、貸主が支払うことが大方です。物件によっては、不動産仲介業者へ支払う仲介料を、借主と貸主が分けて負担することもありますが、これは比較的少ないケースです。

3.契約までの流れ(物件探しから契約まで)
1)どうやって不動産物件をさがしているのか?
 オフィスを開設したい場所の情報を収集しますが、新聞広告、物件を集めた専門の雑誌、不動産屋情報、立て看情報などは日本と同じです。インターネットも情報源になります。遠隔地の情報を得るためにパソコンを使用する人は増えています。希望物件の基本情報とeメールを登録しておいて新しい案件を定期的にメールしてくれるサービスもあり、人気があります。
 通常は不動産会社を介して物件を探します。あとは日本と同じ様に不動産専門雑誌も各都市ごとにあります(通常月刊誌)し、カフェなどに行くと不動産会社の無料冊子なども置いてあります。
 イタリアは小都市がとても多いので、知り合いからの紹介があったり、店舗に直接貼ってある「この店舗売ります/貸します」などの告知もよく見かけます。
 不動産仲介業者に依頼したり、インターネットで検索、友人、知人からの口コミなどが主です。(北京は急速に発展する不動産市場に法整備の方がついて行っておらず、賃貸についての管理規定、「北京市房屋租賃管理若干規定」が2008年1月1日から施行され、貸主の登録、借主の登録、賃貸料金の申請と納税などの管理が強化される予定です。それまでは管理がゆるいこともあり、口コミで友人の持っている物件を借りたり、また貸しをしたり、数社で1つの場所を借りたり、ということもよく見られました。)
2)不動産を選ぶときに最も重視されることは?
 日本人がもっとも気をつけなければならないことは地域特性だと思います。物件としてよくても、存在する場所が危険な場所、市街地から離れている場所等の場合がありますので、物件だけでなく、周りの環境もよく注意するようにします。もう1つは設備の確認です。インターネットのインフラが整っているか等、気をつけておかないと物件が築20年以上と古い場合が多いので、最新設備が設置されているか、設置・拡張可能か明確にしておく必要があります。空港や駅、駐車場等にも気を配る必要があるでしょう。
 事業の種類によって変わります。販売業であればもちろん大通り、メイン通りに面した物件が人気となります。不動産会社も日本同様、目抜き通りの目立つ場所に店舗を持っています。オフィスなどはあまり場所にはこだわらず、アパートを探す条件のように、居心地のいい場所(日当り、交通の便、静かさ)が選ばれる傾向があるそうです。
 業種にもよりますが、流動客をつかむ必要のある業種では、人通りの多い、少ない、オフィスの位置が目立つかどうか、そこに集まる人々の消費能力などが選択基準になります。
 流動客をつかむ必要がない業種では、最近の北京の交通渋滞がひどいことから、地下鉄がそばにあるなど交通の利便性がよいことが基準となります。スタッフの通勤や来客の利便性が考慮されるようです。

4.その他オフィスを借りるために、日本と違う風習や契約などについて教えてください。
 契約期間に注意が必要です。短期長期の契約があり、短期の契約ができるのは便利ですが、期間の契約を失敗すると出たいのに出れない、出ても賃貸は支払わなければならない、まだ賃貸していたいのに出なければならない等の問題に直面することになります。またペナルティ(罰則)という項目は注意しておく必要があります。これは故意にダメージを引き起こした場合は修繕費実費の3倍の費用を請求されるといったもので、いくら故意ではなかったと言っても法廷に引っ張りだされてしまうことがあるようですので、要注意です。
 「2.契約上の特徴/契約や制度において日本と違う点は?」に記しました「契約期間前に出て行く賃借人への補償金」が大きいと思います。イタリアは過去に貸主有利の制度だったので、最近では随分賃借人の保護が強くなっています。
 内装工事については、日本のように退去の際の現状回復義務がないので、かなりの程度自由にできるところが多く、自分好みのオフィス仕様がしやすい点があります。
取材協力:株式会社ライトアップ〔WriteUp!〕