「アーク森ビル」大規模リニューアル完了。
斬新な発想で細部にこだわり、ユーザービリティを向上させたことが
評価され稼働率98%を達成。
 森ビル株式会社は2003年11月より、アーク森ビルのリニューアル工事に着手。 2003年の六本木ヒルズ森タワーへの大口テナント移転を視野に入れて計画的にリニューアルをおこなった結果、新規及び既存テナントの需要の獲得に成功。98%という高い稼働率を達成した。斬新な発想でリニューアルを見事に成功させたポイントをレポートする。

●スペックアップへのこだわり
 外資系金融機関が集中するビジネスセンターとして1986年に竣工して以来、高い稼働率を誇ってきた「アーク森ビル」。
しかし、築17年が経過し、六本木ヒルズ森タワーへ大口テナントが移転する機会を促え、オフィス性能の維持・更新とスペックアップを図ることとした。

 リニューアルは共用部全般とテナント貸室内であるが、ポイントは以下のとおり。
(1)共用部
エントランスホール、エントランス階(1・2階)及び基準階のエレベーターホール等のデザインを一新。一部、既存の部材を活かしながらリニューアルをおこない、省コスト化も実現した。エントランス階エレベーターホールの床にフローリングを採用。全体的に木(木目調)を採用し落ち着きと品格のあるデザインとした。
(2)専用部
OAフロアや電源容量、空調システム、天井システムなど、最新のビルと同等の水準までスペックアップを実施。自社開発のグリッド型システム天井やOAフロアシステムを採用することで、従来の天井高をほぼ確保しながら、高さ50mmのOAフロア設置を実現している。

 IT対応を迫られる既存ビルのスペックアップには、とても有効で参考になるリニューアル手法と言える。

●環境への配慮と新システム
 上記のグリッド型システム天井の採用を機に、基本的に天井材とカーペットを設置しない状態(クォータースケルトン仕様)での引き渡し法を採用。 テナントが入居時に天井材やカーペットを変更したい場合、天井材とカーペットを未使用のまま解体・廃棄する必要がなく、省資源や産業廃棄物の軽減が見込める。

 さらにセキュリティの強化も図られている。既設のセキュリティゲートに加えフロアカット機能等を標準装備し、フロア単位、貸室単位でのセキュリティ制御が可能な仕様とした。  また、エレベーター内やエントランス階(1・2階)に映像モニターも新設し、情報提供機能も強化された。

 今回のリニューアルをトータルに見た時、細部まで緻密に計画され、単にリニューアルするだけでなく必要な建材や工法を自社開発してしまうパワーと発想に感銘を受けた。

基準階貸室面積930坪の専用部

外装も改修したアーク森ビル 外観
2002年に設置されたセキュリティゲート
情報端末としてエレベーター内にモニターを設置
フローリングを採用したエントランス階のエレベーターホール
視覚的な優しさと高級感を演出した木目調の共用部

●OAフロア化の新発想
「フォレストシーリングシステム」と「フォレストフロア」
 OAフロアの標準装備にあたっては、いかに天井高を確保しながら、有効な床配線スペースを確保するかが大きな課題。アーク森ビルでは、2000年に開発したグリッド型システム天井「フォレストシーリングシステム」と新たに開発したOAフロアシステム「フォレストフロア」により、天井高の維持という課題をクリアしている。
フォレストシーリングシステム
従来のシステム天井と比べ構造部材が少なく照明機器も薄い為天井の高さを上げるのに適している。
フォレストフロア
支持脚に工夫し、通常の窯業系OAフロアパネルと比べて板厚を約10〜15mm薄くし、有効配線高さを確保している。

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